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第1章 酸素を知ろう
まずは毎日見ているSpO₂から
かんたんな説明
酸素は身近な治療ですが、PaO₂・SaO₂・SpO₂はそれぞれ意味が違います。この章では「どの酸素を見ている数値なのか」を順番に整理します。
★ ここだけ覚えて:酸素の評価では、数値の名前と意味を区別する。
酸素は身近な治療ですが、PaO₂・SaO₂・SpO₂はそれぞれ意味が違います。この章では「どの酸素を見ている数値なのか」を順番に整理します。
PaO₂の「P」は圧・分圧、「a」は動脈、「O₂」は酸素を表します。略語を分解して読むと、丸暗記せず意味を推測しやすくなります。
空気は酸素や窒素など複数の気体の集まりです。酸素分圧は全体の圧力のうち酸素が担当する圧力で、海面では760mmHg×21%で約160mmHgになります。
吸い込んだ空気は気道で加湿され、肺胞ではCO₂も存在します。その分だけ酸素以外の気体が占める圧が増え、酸素分圧は約160→150→100mmHgへ下がります。
PaO₂は動脈血に溶けている酸素の「圧」、SaO₂はヘモグロビンが酸素をどれだけ結合しているかという「割合」です。同じ酸素でも見ているものが違います。
PaO₂は、血液という液体に酸素がどれくらいの圧で溶け込んでいるかを表します。コーラに炭酸が溶け込んでいるイメージで考えると理解しやすくなります。
酸素は吸気から肺胞、動脈血を通って組織へ運ばれます。組織で生じたCO₂は静脈血から肺へ戻り、呼気として外へ出ます。
ヘモグロビンを酸素を運ぶトラックに例えると、SaO₂は荷台がどれくらい埋まっているかを示す積載率です。100%なら満載、90%なら約1割が空いているイメージです。
パルスオキシメーターは赤色光と赤外線の吸収の差を利用して、Hbの酸素化を推定します。採血せず連続して確認できるのが大きな特徴です。
PaO₂とSaO₂の関係はS字型です。PaO₂が高い領域ではSaO₂は変わりにくい一方、PaO₂が60mmHg付近を下回るとSaO₂は急速に低下します。
SpO₂は100%が上限で、末梢循環不全、マニキュア、圧迫などで誤差が出ます。低SpO₂域では信頼性が低下し、一酸化炭素中毒では誤った高値を示します。
酸素の多くはHbに結合して運ばれます。Hbが少ない貧血では、SpO₂が正常でも運べる酸素の総量が少なくなることがあります。
CaO₂は血液中に含まれる酸素量です。式にはHbに結合した酸素と血液に溶けた酸素が含まれますが、酸素運搬の主役はHbに結合した酸素です。
全身へ届く酸素量は、酸素の積載量だけでなくHb量と心拍出量にも左右されます。酸素化が良くても貧血や循環不全があれば酸素供給量は低下します。
A-aDO₂は肺胞と動脈血の酸素分圧の差、P/F比はPaO₂をFiO₂で割った値です。どちらも肺の酸素化能を評価するために使います。
FiO₂ 0.6でPaO₂ 190mmHgなら、P/F比は190÷0.6=317です。SpO₂が100%でも、投与している酸素濃度まで含めて評価します。
今日もSpO₂は100%ですが、FiO₂ 0.4でPaO₂ 100mmHgならP/F比は250です。SpO₂だけでは見えにくい肺酸素化能の変化を確認できます。